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貧乏ゆすりは健康にプラスの効果が!健康ゆすりと呼ぶ声も
長時間座っていると、無意識にやってしまいがちな「貧乏ゆすり」は、行儀が悪い、落ち着きがないと思われがちです。
貧乏ゆすりは、悪いイメージが先行していますが、実は健康に効果的だとも言われています。
特に、冷え性に悩む女性、ダイエット、変形性股関節症の治療法、運動不足の解消などに効果的とされています。
実際に、健康効果を数値化した研究も発表されています。
また、別名「ジグリング」と言い換えることもできて、貧乏ゆすり(ジグリング)を意識的にやるように進める医療の専門家がいるほどです。
この記事では、貧乏ゆすりの効果、健康効果が期待できる貧乏ゆすりのやり方について詳しく解説していきます。
貧乏ゆすりとは
まずなぜ私たちは貧乏ゆすりをしてしまうのか、貧乏ゆすりというネガティブな印象、名前の由来についてみてみましょう。
生まれた時から備わっている生理現象
貧乏ゆすりは何かに集中している時やイライラしている時に、大脳の動きを抑えるために引き起こる生理現象と言われています。
貧乏ゆすりは世間的には”行儀が悪い”行動として子供の頃に親から注意をされた人も多いのではないでしょうか?
しかし、医師たちは貧乏ゆすりは決して悪いことではないとの見解を示しています。
セラピストの中では、「不安な時、考え事に没頭している時、アクティブな活動をしている人を思い浮かべて真似ようとした時、気持ちを落ち着かせようとした時に起こるもの」と生理現象として認識されています。
今では貧乏ゆすりがもたらす健康効果などの研究と実験も進められているほどです。
稀に貧乏ゆすりをしている分には、ただの生理現象として心を落ち着かせようとしているだけのことなので、気に留める必要はありません。
しかし、あまりにも貧乏ゆすりの癖が強く出て「貧乏ゆすりをやめたいのにやめられない」「貧乏ゆすりが酷すぎてイラつく」などネガティブに作用している場合は、レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)の可能性があるので、医療機関で診療してもらいましょう。
ネガティブなイメージがついた原因
貧乏ゆすりはなぜネガティブなイメージがついてしまったのでしょうか。その理由は主に2つ考えられます。
一つ目は感情をコントロールできていないように認識されるためです。
イライラしたり、落ち着きがなくソワソワしたりしている時に貧乏ゆすりをしがちです。
感情を自制できずにいるのは、周りが見ていてもいい気分ではなく、机などで隣になった場合、揺れて迷惑にもなります。
そのため、貧乏ゆすりをすること自体に悪いイメージを持っている人が多いのです。
二つ目は、貧乏ゆすりという名前と関連しますが、お金のない人たちが寒さを耐え凌ぐために足を揺すっていたためと言われています。
この背景から、貧乏ゆすりをすることで、貧乏神を招くなどの言い伝えが一部では浸透しています。
貧乏ゆすりによる健康効果
近年では、貧乏ゆすりが健康効果につながると言われていて「ジグリング(股関節や膝関節を小刻みに動かすこと)」というエクササイズ用語に言い換えられることもしばしば。
ネガティブに聞こえがちな「貧乏ゆすり」も「ジグリング」という言葉が主流になれば、健康効果の期待と共にポジティブなイメージに変わっていくかもしれません。
貧乏ゆすりによる健康効果①冷え性の改善
貧乏ゆすりは、女性に多い「冷え性」の解消の効果があると言われています。
冬場はもちろん、夏場でも冷房の効いた部屋で長時間過ごしていると、足先から冷え固まってしまったという経験がある方は、意識的に貧乏ゆすりをしてみてください。
貧乏ゆすりは、筋肉のつりや血圧を下げる効果があるとして、高齢者向けのデイケアサービスなどでも度々取り入れられいる運動です。
実際に、貧乏ゆすりを3分間行うだけでふくらはぎの皮膚温度が1度上昇した効果も出ていて、この効果は、約20分間のランニングに相当すると提唱されています。
貧乏ゆすりを3分間続けるのが厳しい場合は、30秒を3セットなどで休憩を挟みながら行うだけでも、筋肉の緊張がほぐれて体温上昇効果につながるのでおすすめです。
貧乏ゆすりによる健康効果②死亡リスクの減少
イギリスのロンドン大学ユニバーシティカレッジは、貧乏ゆすりと死亡リスクは大きく関与している研究結果を発表しました。
もともと長時間座っていると、「糖尿病」「心臓病」「動脈硬化」などの病気を患いやすく、死亡リスクが高まると報告されています。
死亡リスクは、運動量や生活習慣によって大きく変動するため、貧乏ゆすりの効果で死亡リスクの上昇を避けられるのではないかと着目しました。
そこで、イギリス在住の37歳〜78歳の女性12,778人を対象に、長時間座っている間の貧乏ゆすりの頻度と死亡リスクの関連性について実験したのです。
貧乏ゆすり効果に関する実験結果
- 貧乏ゆすりをする頻度を10段階に分類する
- レベル1~2のほとんど貧乏ゆすりをしないグループでは、1日の座っている時間が5時間未満の人に対して、7時間超えの人の死亡リスクが1.3倍上昇
- レベル3~4のたまに貧乏ゆすりをするグループでは、1日の座っている時間が5時間未満の人と7時間超えの人では死亡リスクに変化はなし
- レベル5以上の頻繁に貧乏ゆすりをするグループでは、1日の座っている時間が5時間未満の人と7時間越えの人では死亡リスクに変化はなし
- 1日の座っている時間が5~6時間で、レベル5以上の貧乏ゆすりをたくさんするグループでは死亡リスクが減少
貧乏ゆすりと死亡リスクについての研究指揮をとったロンドン大学ユニバーシティカレッジのガレス・ハガー=ジョンソン氏らは、研究のまとめとして「長時間座っていることで懸念される死亡リスクを貧乏ゆすりで減らす可能性が示せた」と明言。
この研究に対して、医師向けメディア「メディカルトリビューン」には、会員医師たちからさまざまな声が寄せられました。
研究結果を読んだ医師たちの反応
- 下肢の血栓症予防効果は十分にありえるだろう
- 変形性股関節症に有効という報告を聞いたことがある
- 下肢のポンプ力はあるはずなので循環改善の効果に期待できる
貧乏ゆすりによる健康効果③変形性股関節症の症状緩和
立つ、歩く、座る、しゃがむ、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作で使う股関節をサポートする「関節軟骨」がすり減ることで引き起こる変形性股関節症。
変形性股関節症は、中高年以降の女性や肥満体質の人に発症しやすく、眠れないほどの痛みにつながる場合もあります。
久留米大学医療センター病院長で整形外科・関節外科センター教授の大川孝浩先生によると、貧乏ゆすりで変形性関節症の症状を緩和する効果がある可能性が高いとのこと。
現在、変形性股関節症の治療には薬物療法や理学療法による「保存治療」と人工関節に置き換える「手術治療」の2種類がありますが、すり減った関節軟骨を根本的に治す薬剤はありません。
人工関節に置き換えることで痛みの大部分が消える、股関節の可動域が大幅に改善するといったメリットはある一方で、人工関節の耐用年数には限りがあると言われています。
その点、貧乏ゆすりは、症状の進行状態や年齢に関わらず、機器などを使わず座った状態でできるので、取り入れやすい運動療法として注目されているのです。
現段階で、変形性股関節症の運動療法として具体的な効果やメカニズムは、詳しく解明されていません。
しかし、股関節への負担が少なく、持続的に動かすことで関節液の循環を促し、関節軟骨に栄養供給される可能性が高いと言われています。
ただ、軟骨再生の効果が出るまでにはある程度の時間が必要のため、変形性股関節症の疑いがある場合は、整骨院などでの診療で専門医師からの助言をもらうことが大切です。
貧乏ゆすりによる健康効果④幸せホルモンが分泌される
貧乏ゆすりは、脳に精神的な安らぎを与えてくれる効果があります。
身体で重要な役割を果たしているとされる三大神経物質といえば、「ノルアドレナリン」「ドーパミン」「セロトニン」の3つ。
セロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれていて、セロトニンが不足すると心身のバランスが崩れたり、うつ病を発症したりする原因になるとされています。
セロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンという物質から作られるので、食品もしくはリズム運動でトリプトファンを取り入れることで、セロトニンの脳内分泌を増やすことが期待できます。
トリプトファンが含まれる食品
- 大豆
- 豆製品(納豆、豆腐)
- 乳製品(チーズ、ヨーグルト)
さらに、トリプトファンからセロトニンを合成するためには、ビタミンB6が必要です。
ビタミンB6が多く含まれる食品
- 玄米
- 牛肉
- 豚肉
- マグロ
- カツオ
食品からセロトニンを増やすことができますが、効果が出るのに時間がかかったり、仕事中などにストレスを感じたりした場合は、瞬時に食品摂取で解決することは難しいでしょう。
その点、規則的なリズムを刻むことでセロトニンの分泌になると言われているリズム運動は、いつでもどこでも行うことができるので、即効性のある効果が期待できます。
イライラした時や緊張している時に、貧乏ゆすりをして気持ちが落ち着く人もいますが、それは、貧乏ゆすりがリズム運動としてセロトニンを分泌していたためです。
落ち着きがないように見える印象がありますが、貧乏ゆすりをすることは悪いことではなく、医学的に精神の安定につながることを知っておきましょう。
一人の空間や周りに配慮した上で、意識的に貧乏ゆすりをすることは、心身のバランスを保つために大切なことなので、健康のための習慣として取り入れてみるのも良いでしょう。
貧乏ゆすりによる健康効果⑤エコノミー症候群の予防
車や飛行機など狭い座席に長時間座っていて、食事、水分、運動をしない時に発症しやすいエコノミー症候群にも貧乏ゆすりは効果的と言われています。
エコノミー症候群は、静脈にできた血の塊・血栓が肺の血管などに詰まることで引き起こるもので、足や膝の腫れ・痛み・息切れ、最悪の場合は心臓発作にもつながるので注意が必要です。
その点、貧乏ゆすりは、上下左右の運動で血行を良くする効果があるので、血栓ができにくくなり、エコノミー症候群の予防や症状緩和が期待できます。
飛行機や車の中だと身動きが取れなかったり、周りの目が気になるので、激しく貧乏ゆすりをすることは難しい場合もあります。
そんな時は、左右にゆっくり膝を動かしたり、音楽にノッているようなリズムで足首を揺らしたりする程度の貧乏ゆすりでも効果的なので、試してみてください。
貧乏ゆすり(健康ゆすり)がおすすめの人
貧乏ゆすりは、名前だけでネガティブなイメージが先行していますが、「健康ゆすり」と言い換えていいほど、健康面での効果が期待できます。
実際、どんな人に貧乏ゆすり(健康ゆすり)がおすすめなのか紹介します。
飛行機や車などの乗り物に長時間乗る人
まず、長時間狭い座席に座る環境にいる人たちは、エコノミー症候群になるリスクが非常に高いです。
エコノミー症候群は、食事・水分・運動の3つの不足が原因で、足や膝の腫れといった軽度な症状から心臓発作などの重度な症状まで引き起こす可能性があるので要注意です。
限られた空間で硬直状態が続くと、症状は悪化をたどる一方なので、貧乏ゆすり(健康ゆすり)をして体内の血液の巡りを良くしていきましょう。
血液の巡りを良くすることで、血の塊(血栓)ができるのを防ぐことができます。
デスクワークが多い人
近年では、デスクワークがメインの仕事をしている人が増えていますが、長時間座って生活することを英語では「セデンタリー・ライフスタイル」と呼び、身体にさまざまな弊害や悪影響を与える生活様式として注意喚起されています。
世界保健機関(WHO)は、セデンタリー・ライフスタイルが喫煙・不健康な食事・アルコールの過剰摂取などと並行して、癌・心血管障害・糖尿病・慢性呼吸器疾患を引き起こす原因を発表。
セデンタリー・ライフスタイルによって癌・心血管障害・糖尿病・慢性呼吸疾患を患い死亡した数は約200万人と算出されるなど、デスクワークが引き起こす危険性が注目されています。
デスクワークがメインになったセデンタリー・ライフスタイルでは、筋肉に刺激が伝わらないため、血糖値をコントロールしてくれるインスリンが効かなくなり、病気につながるとのことです。
そのため、どうしても仕事中はずっと座っている必要がある場合は、小刻みに足や膝を動かす貧乏ゆすり(健康ゆすり)をして、筋肉を刺激してあげましょう。
実際に英ロンドン大学ユニバーシティカレッジの研究では、貧乏ゆすりが長時間座っている人の死亡リスクを軽減させている研究結果も出ています。
手軽な健康療法を日常生活に取り入れたい人
貧乏ゆすりは、「体温上昇」「血流改善」「筋力アップ」などさまざまな健康効果を発揮してくれます。
そのため、以下のような症状で日常的に悩んでいる人は、貧乏ゆすりを取り入れると良いです。
- 手足の冷え
- 足や膝のむくみ
- 筋力低下
- 体のだるさ
- 体が重い
貧乏ゆすりは、いくつかの側面で健康効果を発揮していますが、薬剤投与や手術などの劇的な変化は期待できません。
悩んでいる症状が深刻な場合は、まず医療機関を受診することを最優先にして、プラスアルファで「緩和」「予防」という位置づけで貧乏ゆすりの運動療法を取り入れましょう。
太りにくい身体を作りたい人
東京学芸大学名誉教授の宮崎義憲さん著書の「太ももを強くすると太らない超健康になる」では、寝る前に少し貧乏ゆすりをするだけで、太りにくい体質を作れると紹介しています。
宮崎名誉教授が進める貧乏ゆすりエクササイズ
- 椅子に座り、リラックスしながら背筋を伸ばす
- 膝を上下に1秒間に3回ほどの一定のペースで大きく動かす
- 1日の終わりに片足5分ずつ貧乏ゆすりを行う(寝る前がベスト)
- 貧乏ゆすりではなくて、膝を開いてゆする方法も有効
- 興奮して眠れなくなることがあるのでやりすぎ注意
ただ、ウォーキングや筋トレと違って、貧乏ゆすり程度の運動量はカロリー消費にならないため、大幅なダイエット効果はありません。
ダイエットを目的とする場合は、運動やバランスの良い食事と併せて取り入れてみてください。
貧乏ゆすりは様々な健康効果を期待できる
この記事では、貧乏ゆすりの健康効果について解説しました。
貧乏ゆすりは、生まれ持った生理現象の一つですが、長時間座ったままの生活の人には死亡リスクを減少させる効果が認められるなど、その健康効果が見直されつつあります。
呼び方も「ジグリング」や「健康ゆすり」という別の表現がされるなどしてネガティブな印象から変わってきています。
老若男女全ての人に何かしらの良い健康効果が期待できるので、TPOをわきまえた上で健康療法として取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、緊張した時やイライラした時など、ネガティブな感情が渦巻いている時に、自然と貧乏ゆすりが出てしまう人もいるでしょう。
貧乏ゆすりには、精神を落ち着かせる効果やうつ病発症を避ける効果も期待できるので、「貧乏ゆすりはやってはダメなこと」と考えないことも大切です。
まだまだ詳しいメカニズムなどが分かっていないので、これから医療界での研究が進むことを期待したいところです。