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圧迫骨折の治療やリハビリ、予防法について解説
「寝返りを打つときや起き上がるときに腰が痛む」
「最近背中が曲がってきたような気がする」
こんな症状が続くアナタは要注意!圧迫骨折の可能性があります。
圧迫骨折とは簡単にいうと背骨の骨折なのですが、一般的に私たちが考える骨折とは異なり、痛みなどの自覚症状が出ない場合があります。
本人だけでなく家族も気がつかない場合も多いため、「いつのまにか骨折」とも呼ばれています。
圧迫骨折を治療せずに放置すると、背骨が変形して身体が歪んだり、他の骨に負担がかかって新たな骨折を招いたり、知らないうちに症状が徐々に悪化していきます。
高齢者の場合は、適切に治療やリハビリを行わないと寝たきりの原因になりますので、特に注意が必要です。
この記事では、圧迫骨折の原因や予防法、骨折してしまった場合の治療の選択肢、回復のためのリハビリなどについてご紹介します。
圧迫骨折のリスクを正しく理解して日常生活で予防に気を配るとともに、「もしや?」と思ったら、早めにお近くの整形外科や整骨院に相談しましょう。
圧迫骨折とは
圧迫骨折とは、背骨の中にある「椎体(ついたい)」と呼ばれる部分が負荷に耐えかねて骨折してしまうことです。
骨が圧迫されて潰れたように折れてしまうので、圧迫骨折といいます。
「脊椎(せきつい)圧迫骨折」「胸椎(きょうつい)圧迫骨折」「腰椎(ようつい)圧迫骨折」など、骨折の部位に応じて名称を分ける場合もありますが、この記事では、背骨の椎体が骨折している状態を総称して圧迫骨折と呼びます。
圧迫骨折の原因
椎体は一般的にそう簡単に潰れてしまう組織ではありません。
それではなぜ圧迫骨折してしまうのか。ここでは原因を見ていきます。
強い力による外傷
若年層の圧迫骨折の主な原因は、強い力による外傷です。
高所からの転落事故や交通事故など、背骨に強い圧力が加わることで圧迫骨折が起こります。
骨粗しょう症に起因する骨折
高齢者の圧迫骨折は、骨粗しょう症と深い関係があります。
骨粗しょう症によって骨がもろくなると、「え?こんなことでも骨折するの」という軽い衝撃や自分の体の重みで椎体が潰れ、圧迫骨折を起こしてしまいます。
- 転倒
- 尻もち
- 重いものを持ちあげる
- 身体をひねる
- 咳やくしゃみ
- 背中に負担をかける長時間の作業(草むしりなど)
骨粗しょう症に起因する圧迫骨折の場合は外傷がないため、本人も周囲の人も気がつかないことがあります。
特に閉経後の女性はホルモンバランスが崩れることで骨粗しょう症になりやすいので注意が必要です。
上記動作をして腰や背中に痛みを感じる状態が続くようであれば、背骨の圧迫骨折を疑って、専門医に相談、検査してもらいましょう。
圧迫骨折を予防するには
圧迫骨折は予防ができるのでしょうか。
強い外傷に起因する圧迫骨折は事故のため予防が難しいですが、骨粗しょう症に起因する圧迫骨折は、骨粗しょう症を予防することが圧迫骨折の予防に繋がります。
圧迫骨折の発生や悪化を予防するために、日常生活で気をつけるべきポイントをお伝えします。
骨を強くする
骨粗しょう症を予防するには、骨を丈夫にするための食生活が大事です。
骨の材料であるカルシウムやカルシウムの吸収に必要なビタミンD、骨の形成に関わるビタミンKなどの栄養素を、積極的に食事から摂取するようにしましょう。
カルシウム | シシャモ、干しエビ、豆腐、牛乳、チーズ、小松菜、ひじき、など |
ビタミンD | 鮭、イワシ、サンマ、カレイ、しらす、干しシイタケ、キクラゲ、など |
ビタミンK | モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、納豆、鶏モモ肉、など |
適度な運動
骨を丈夫にする食生活とともに、日常生活に適度な運動を取り入れましょう。定期的に運動することで筋力や神経機能が向上し、バランス感覚が良くなります。筋力やバランス感覚を養うことは、転倒しないために重要です。
早期発見
骨粗しょう症も圧迫骨折も、早期発見が悪化を防ぐ鍵です。
圧迫骨折を放置すると、骨折が治らないまま骨が変形したり歪んだりします。また、変形や歪みで負荷がかかると、骨折周辺部の骨が次々に骨折する「ドミノ骨折」が起こることもあります。
自分の骨の状態をチェックするために定期的な骨密度検査を行うとともに、「背が縮んだ気がする」「背中や腰が曲がった」など姿勢が気になったり、「動作がぎこちない」「寝返りや立ち上がるときに背中や腰が痛い」など動作に異常を感じたりしたら、一度整形外科でMRI検査を受けましょう。
圧迫骨折の治療
圧迫骨折の治療には、主に保存療法と手術療法の2つがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
手術が必要ない場合(保存療法)
圧迫骨折で激しい痛みや麻痺などがない場合、まずは保存療法を行います。
あくまで骨折なので、最初に必要なのは、通常の骨折と同じく固定することです。
骨折した部位はぐらぐらと不安定ですぐに変形してしまうので、多くの場合、大きく硬いコルセットやギプスで固定して、折れた骨が自然に固まるまで安静にします。
コルセットやギプスは、就寝時も含めて、基本的には常に着用することが必要です。骨折が治癒するまで長期間の装着になるので、苦しいときは我慢をせずに、整形外科や整骨院に相談しましょう。
専門の義肢装具士を紹介してもらえれば、付け心地を調整しながら生活ができます。
コルセットをいつ外すかは、自己判断はせずに必ず担当の医師の指示に従ってください。また、痛みがある場合は骨折が治るまで続くこともありますので、必要に応じて痛み止めを処方してもらいましょう。
なお、圧迫骨折の原因が骨粗しょう症にある場合、たとえ一度骨折部が固まっても再び圧迫骨折を生じるリスクが高くなります。圧迫骨折の治療と並行して、骨粗しょう症への治療も合わせて行うことが大切です。
手術が必要な場合
圧迫骨折の治療の基本は保存療法ですが、次のような場合は早期の手術を検討します。
- 激しい痛みで日常生活を営むのが困難
- 骨粗しょう症が進行していてドミノ骨折が懸念される
- 保存治療を行っても痛みが取れない
- 過去に圧迫骨折になったことがある
圧迫骨折の手術としては、経皮的椎体形成術(けいひてきついたいけいせいじゅつ)というものがあります。潰れた推体に特殊人口骨(骨セメント)を注入して背骨を復元する手術法で、傷口が小さいため体への負担が少なく、治療期間が短くて済みますよ。
安全性が高い手術ではありますが、僅かですが合併症も報告されています。骨折の状態や既往症を医師と確認し、手術が必要か、可能かどうかの判断を仰ぎましょう。
リハビリは整骨院へ
圧迫骨折の治療中であっても、まったく動かなかったり、長く寝込んだりするのはよくありません。筋力や体力が低下して、寝たきりになってしまう可能性があります。
コルセットやギプスを適切に使用し、場合によっては痛み止めなどを服用しながら、起きて少しずつでも動くことが大切です。
ただ、逆に痛みがない場合、無理な動きをすると症状が悪化したり、せっかく治療したのに再度骨折したりするリスクを高めてしまうことがあります。
圧迫骨折の基本的なリハビリは以下のように複数存在しますが、骨折の状況や治療法、個々の身体の状態に応じて内容を検討する必要があります。
- ベッドの上で行う関節可動域訓練や筋力訓練
- コルセット着用期間の筋肉やバランス能力の向上訓練
- コルセット着用期間後の体幹の筋力回復訓練
- 歩行器や杖を用いての歩行訓練
- 再転倒防止のための定期的な運動訓練
整骨院であれば、国家資格である柔道整復師が全身の状態をチェックしながらリハビリプランの提案や必要に応じた施術してくれるので安心です。
整骨院は整形外科と提携をしていることが多いので、必要であれば症状に応じて整形外科と連携して対処してもらいましょう。
圧迫骨折は早期治療とリハビリが鍵!日常生活で骨粗しょう症の予防も
「いつのまにか骨折」とも呼ばれる圧迫骨折は、大きな自覚症状なしに進行することが多いため、姿勢や動きの変化に家族や周りの人が気をつけて早期に発見することが重要です。
また、骨粗しょう症を予防する生活習慣を取り入れることが、圧迫骨折の予防に繋がります。
万が一圧迫骨折してしまったら、何よりも大切なのは症状と状況に合わせたリハビリを取り入れることです。
専門家の指示を仰ぎながら、回復の症状に合わせたリハビリを積極的に取り入れることで、再骨折や寝たきりのリスクを少なくすることができます。
気になる症状があるとき、リハビリの仕方が分からないときは、放置したり自己判断で対処したりせず、近くの整骨院などに相談するようにしてください。