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不眠症改善に有効な漢方薬・生活習慣について
私たちの身体には本来、朝の覚醒と夜の睡眠を繰り返すリズムが備わっています。ところが、何らかの原因でこのリズムが崩れると、快適に眠れなくなります。
「あなたはよく眠れていますか?」
厚生労働省の「生活習慣調査」の結果によると、日本国民の5人に1人はこの質問に「いいえ」と回答しています。
つまり、日本人の5人に1人が入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの症状に悩まされ、日常生活に不調を抱える「不眠症」に悩まされているのです。
不眠症の場合、薬物療法をイメージする方が多いと思います。
しかし、生活習慣を整えたり、東洋医学や漢方を上手に用いたりしながら、からだ全体を自然な状態に戻そうとアプローチすることも不眠症の改善に効果的です。
そこでこの記事では、不眠症の原因や改善のための治療法、特に東洋医学の考え方や不眠症改善に効果のある漢方薬について紹介していきます。
不眠症チェック
眠れない日が数日間続くと、「これって不眠症なのかな」と気になってしまいますよね。
不眠症かどうかを客観的に測定するために、「アテネ不眠尺度」という国際基準がよく使われています。
これは世界保健機構(WHO)による「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した、世界共通の不眠症の判定方法です。下記8つの質問に対する回答で不眠度を測定します。
- 寝つき(布団に入ってから寝るまでに要する時間)は?
- 夜間、睡眠途中に目が覚めることは?
- 希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったのか?
- 総睡眠時間は?
- 全体的な睡眠の質は?
- 日中の気分は?
- 日中の活動について(身体的及び精神的)
- 日中の眠気について
過去1ヶ月間に少なくとも週3回以上経験している状態をそれぞれの質問に対して4段階で回答します。この回答の総計で不眠症かどうか、不眠症だとしたらどのレベルかをチェックすることができます。
不眠症の原因
不眠症は様々な原因から発症しますが、主な原因には下記のようなものがあります。
- ストレス
- 心の病気
- からだの病気
- 薬の副作用
- 睡眠の質を悪化させる生活習慣
- 睡眠時の環境
対処法や治療方法は原因によって異なりますので、まずは眠りを妨げているのは何なのかをしっかり突き止めることが大切です。
原因は必ずしも一つではなく、複数の原因が重なって不眠症になっている場合もあります。
不眠症改善の治療
不眠の症状が長期間に渡って続き日中の生活に支障がでるようであれば、専門医に相談して治療を受けましょう。
不眠症の治療には、主に西洋医学に基づいた治療と東洋医学に基づいた治療があります。
西洋医学での不眠症治療
西洋医学での不眠症の治療は、眠りを妨げている生活習慣や環境を整え、不眠が起こる原因を取り除くことを目的としています。
- 生活習慣や睡眠時の環境が不眠を引き起こしている⇒習慣や環境の改善を行う
- ストレスが眠りを妨げている⇒カウンセリングを行ってストレスの緩和・解消に努める
- 心の病気やからだの病気が不眠の原因と考えられる⇒その病気の治療を行う
- 薬の副作用で睡眠に支障が出ている⇒使用する薬の変更を検討する
上記のアプローチを行っても不眠症が改善しない場合は、睡眠薬や精神安定剤を用いた薬物療法を取り入れます。
「睡眠薬は一度使ってしまうと手放せなくなるのではないか」と不安を抱く方もいるかと思います。
どんな薬でも副作用が現れることはありますが、最近の睡眠薬は安全性が高まっています。医師の指示通りに正しく服用すれば、必要以上に怖がることはありません。
生活習慣を整えつつ睡眠薬を服用することで不眠症の症状が改善してきたら、徐々に薬の容量や回数を減らし、最終的には薬の服用をしなくても良くなったら治療完了です。
東洋医学での不眠症治療
東洋医学は「五行説」という考え方に基づいています。自然界にあるものは木・火・土・金・水の5つの要素に分類でき、それぞれが相互に影響を与えながらバランスを取っているという理論です。
五行説の5つの要素には、それぞれ対応する体の臓器があります。この五臓が過不足なく働くことで、体内の「気」「血」「水」の巡りが良くなり、心身の健康が保たれます。
五行説 | 五臓 | 部位 |
木 | 肝 | 自律神経系・末梢循環系(目、筋膜、自律神経、胆のうなど) |
火 | 心 | 循環器・脳神経系(舌、中枢神経、血管、小腸など) |
土 | 脾 | 消化器系(口、筋、胃腸、四肢、血管壁など) |
金 | 肺 | 呼吸・免疫系(鼻、呼吸器、皮膚、大腸など) |
水 | 腎 | 生殖器・ホルモン系(耳、骨髄、膀胱など) |
東洋医学において不眠症は、「気」「血」「水」のバランスの乱れから起こり、主に「肝」「心」「脾」の臓器が関係していると考えられています。このバランスを整えるためには、漢方薬が効果的です。
不眠治療に効果的な漢方薬
漢方薬を用いた不眠治療は、西洋医学の睡眠薬のように強制的に眠気を引き起こすものではありません。不眠の症状を含めた体全体のアンバランスを整えて、自然な状態に戻すことを目的としています。
不眠治療への効果が期待できる漢方薬には、代表的に次のようなものがあります。
入眠障害に効果的な漢方薬
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
- 女神散(にょしんさん)
- 抑肝散(よくかんさん)
中途覚醒、早期覚醒に効果的な漢方薬
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
心因性(ストレス)による不眠に効果的な漢方薬
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
- 大柴胡湯(だいさいことう)
漢方薬を効果的に用いると、自律神経のバランスが整って気分が落ち着き、その結果睡眠が促進されます。
漢方薬は西洋医学の睡眠薬や精神安定剤のような即効性はありませんが、継続して服用することで徐々に変化を感じられるようになります。また、西洋医学で処方される薬よりは副作用が少ないのも特徴です。
漢方薬だけでは治癒が難しい場合は、一時的に睡眠薬を併用することも可能です。
どの漢方薬が適しているかは、不眠の症状だけでなくからだ全体の状態を多面的に診て判断する必要がありますので、担当医や漢方薬局とよく相談をして決定しましょう。
不眠改善には生活習慣を整えるのも有効
不眠は生活習慣とも大きく関係しています。
生活の中に取り入れてしまっている「自然な眠りを妨げる習慣」は案外多いものです。
眠りと覚醒の交換がスムーズに行われるように、よく眠ることだけではなくすっきりと目覚めることも意識して、生活習慣を整えていきましょう。
次のポイントが不眠の改善・解消に効果的です。
- 前夜の就寝時刻に関わらず、毎日同じ時刻に起床する
- 目が覚めたら朝の光を浴びて体内時計をリセットする
- 朝食は抜かない
- 毎日適度な運動を行う
- 昼寝は控える
- 就寝3時間前にぬるめのお湯で入浴する
- 就寝1時間前にはテレビやスマホの電源を切る
- 寝酒やタバコはやめる
生活習慣を整えて不眠症を改善するためには、「睡眠日誌」がおすすめです。
- 朝起きた時と眠る前にどんな行動をしたか
- 何時に床についたか、何分ぐらいで寝入ったか
- 夜中に目が覚めたか、朝は何時に起きたか
生活習慣と睡眠の状態を細かく記録することで、自然な眠りを妨げている生活習慣が浮き彫りになってきます。
漢方薬を効果的に取り入れて、自然な睡眠へと改善しよう
この記事では、不眠症をチェックする方法や不眠症の原因、不眠症改善に効果のある漢方薬や不眠改善のために取り入れるべき生活習慣を見てきました。
現在の不眠治療では、西洋医学をベースとした睡眠薬や精神安定剤が使用されることが多いですが、副作用への不安などから、漢方薬、鍼灸などを用いた東洋医学をベースとする治療法を選択する人も増えています。
東洋医学や漢方薬の良いところは、五臓のバランスを取ったり気・血・水の流れを整えたりといった、全身の状態を考慮しているところです。
西洋医学の治療法に比べて即効性はありませんが、継続して服用することで不眠症だけではなく過度の疲労やストレスなどの全身の不調の改善も期待できます。
自然な睡眠のリズムを取り戻すためには、生活習慣や環境を整えるとともに、漢方薬を効果的に取り入れてみてください。