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足底筋膜炎の治療法や予防について
歩き過ぎたり、走り回るスポーツをしたりすると、足の裏(足底)が痛くなることがありませんか?
このような場合、足底筋膜炎が起こり、痛みが発生しているのかもしれません。
では、足の裏が痛くなる足底筋膜炎の症状や原因はどのようなものなのでしょうか。
この記事では、足底筋膜炎の治療や予防法について詳しく解説していきます。
足底筋膜とは?
足底筋膜とは、かかとの骨から中足骨(足の指)の付け根にかけてつながっている繊維組織です。
土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)を構成しており、歩行や走行時の衝撃を吸収させるスプリングのような働きをしています。
また、足底筋膜は吸収した衝撃を前足部につたえ、蹴り出す力を作り出す役目もあります。
もし、足底筋膜が障害を起こすと、足底やかかとからの衝撃を直接受けることになり、歩きにくさや痛みが発生してしまうのです。
足底筋膜炎の症状
足底筋膜炎は足底に負荷がかかりすぎることや、繰り返し衝撃を受けることで炎症が起こる慢性疾患です。
足底筋膜の繊維組織が損傷したり、弾性力が低下したりすると発症します。
足底筋膜炎の疼痛部位は 3点で、かかとの骨への付着部、足底筋膜の中央部、中足骨頭部(足の指の付け根)で発生します。
特徴として、「朝起きたとき1歩目のかかとの痛み」「急に歩き出すと痛む」といった症状があります。
足底筋膜が付着しているかかとの骨が繰り返し引っ張られることで変性し、骨棘(骨のでっぱり)ができると、痛みが増悪してしまうのです。
足底筋膜炎の原因7つ
足底筋膜炎は繰り返し足底への衝撃が加わることで炎症を起こし、疼痛が発生します。
では、どのように炎症が起こるのか、原因を7つ説明します。
使い過ぎによるもの
足底筋膜炎になりやすいのは、日常的にスポーツをする人です。
特にランニングやジャンプを繰り返し行う人は発症する確率が高く、足の使い過ぎにより足底筋膜に炎症が起こります。
スポーツでは、つま先を強く蹴り出したり、踵に大きな衝撃をうけたりするため負荷量が多く、発症しやすいとされています。
また、普段よりもよく歩いた際など急に運動量が増えた場合も同様です。
足の指を反りからせる動きが痛みが増悪してしまうため、立ち上がりや階段昇降でも症状が出やすいです。
肥満によるもの
肥満体型の人も、足底筋膜に負荷がかかりやすいと言えます。
自身の体重に対して足底のスプリングの機能がうまく働かず、負荷が蓄積してしまい足底筋膜に炎症が起こります。
肥満体型の人は関節への負荷が大きく、関節変形を起こす場合が多いです。
足関節や土踏まずの変形が足底筋膜へ影響を及ぼすこともあります。
体重が急増した人も炎症が起こる可能性が高いので要注意です。
長時間の立ち仕事
長時間の立ち仕事も肥満体型の場合と原因が似ています。
長時間にわたり立位で体重を支えると、足底筋膜が圧迫され続け、負荷がかかってしまうのです。
足底にかかるストレスが分散できずに、炎症を起こし痛みが発生します。
筋力低下によるもの
土踏まずのアーチを支える足の指や足底の筋肉、ふくらはぎの筋力が低下するとかかと側に重心がかかりやすくなります。
かかと重心は足底筋膜に圧迫がかかり、負荷が大きい状態となります。
加齢などにより足底筋膜の柔軟性が低下するとさらに足底筋膜炎を発症しやすいです。
扁平足やハイアーチ
扁平足やハイアーチ(土踏まずが高すぎる)人は、足底筋膜炎になりやすい傾向にあります。
扁平足で土踏まずのアーチ低いと足底筋膜が常に緊張しており負荷が大きい状態です。
また、土踏まずのアーチが低いことでたわみが少なくクッション性がよくないため、足底への衝撃が強くなります。
ハイアーチの場合は、足部の動きが乏しく、土踏まずのたわみが少ないため足底への衝撃が強くなります。
かかとの骨が外に倒れ、土踏まずのアーチが崩れることで前足部への重心移動も難しくなるため、足底筋膜への負荷が大きくなるのです。
足関節が硬い
足関節は、足底が地面に接地したときの強い衝撃を緩和することが可能です。
しかし、足関節を支える筋肉や靭帯の硬さが影響し、足首の動きが制限されると衝撃を緩和する機能が低下します。
例えば、足関節を反らしたときに伸ばされるアキレス腱・ふくらはぎの筋肉である、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)が硬いと足首だけでなく足底の柔軟性に影響します。
歩行の際、重心が前足部へ移動しにくくなってしまうので、かかと側に直接衝撃が伝わってしまいます。
足に合わない靴
靴底が薄い靴やインソールが硬い靴を履いていると、足底に圧迫や衝撃が直接かかり、足底筋膜に負担がかかり過ぎてしまいます。
また、クッション性が低いことでアスファルトなどの硬い地面からの衝撃を強く受けてしまいます。
足幅の合っていないきゅうくつな靴も要注意です。
足先の自由度が低いと前足部での蹴り出しが不十分な状態になってしまいます。
踵からの衝撃を蹴り出す力に変える機能が働きにくく、足底筋膜への負担が大きくなってしまいます。
また、外反母趾の人も、同様の理由で足底筋膜炎になるリスクが高いです。
足底筋膜炎の治療方法
足底筋膜炎の治療は、足底筋膜に負荷がかかりやすい条件を避けることが大切です。
スポーツによる発症の場合は、まず運動量の調節が重要です。炎症がおさまるまで患部を安静にさせましょう。
また、体重のコントロールや立ち仕事の合間に姿勢を変えて工夫する必要があります。
他には以下のような痛みの緩和や、足底への負荷を軽減する治療を選択していきます。
保存療法
足底筋膜炎の治療として、保存療法があります。保存療法の内容を詳しくみていきましょう。
物理療法
- アイシング:スポーツ後や炎症時にアイシングを行い痛みを緩和させます。
- 温浴や低周波など:炎症がない場合に行います。筋肉や腱膜を温め柔軟性を高めます。ストレッチを合わせて取り入れると効果的です。
装具療法
- 足底装具の使用:インソールをクッション性の高いものに変更します。足底挿板を入れ、かかとへの衝撃を軽減し足部のアーチを保持する機能をサポートします。
- テーピングやサポーターの使用:足部の内側縦アーチをテーピングやサポーターで補正し、足底への負担を軽減させていきます。
薬物療法
- 非ステロイド系消炎鎮痛薬:痛みの程度に応じ、湿布薬や経口薬が処方されます。
- ステロイドの局所注射:痛みがひどいときに適応される場合があります。
※かかとの脂肪組織の萎縮や筋腱膜の断裂のリスクがあるため、注意しながら施術を行います。
足底筋膜炎の治療・予防はストレッチが有効
足底筋膜炎の治療及び予防はストレッチが有効です。
足部や足趾、ふくらはぎのストレッチをすると、土踏まずのスプリングの機能を保つことができます。
足底筋膜はかかと骨から中足骨(足の指)の付け根までつながっているので、足の指を反らせ足底を伸ばす意識を持ち、かかとから足関節までストレッチするのがおすすめです。
また、足関節の柔軟性を保ち、足底への負荷を減らすことも重要です。
アキレス腱のばし(ふくらはぎのストレッチ)も合わせて行いましょう。
足底筋膜炎の治療は整骨院へ
足底筋膜炎は慢性疾患であり、普段の足の使い方が足底に負荷をかけやすくしてしまいます。
足底筋膜炎の治療や予防にはストレッチだけでなく、足底への正しい体重のかけ方や歩き方を学習し直す必要があります。
また、足指や土踏まずのアーチを効率的に動かすためのトレーニングもおすすめです。
まずは、整骨院で柔道整復師などの専門家に足部の状態をみてもらい、治療を進めましょう。
セルフケアと合わせて専門家のアドバイスを取り入れることで、適切な治療を受けられ、再発の予防にもなりますよ。
(参考)
【1】https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-chronic-pain/plantar-fasciitis/
【2】https://www.jssf.jp/pdf/pamph_sokuteiken.pdf
【3】http://www.jossm.or.jp/series/flie/s13.pdf
【4】標準整形外科学第12版 p903〜904 編集者:松野丈夫,中村利孝他
【5】筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版 p,629〜662原著者:Donald A.Neumann 監訳者:嶋田智明,有馬慶美